国宝「松江城天守」戦国期の築城技術と武家文化を今に伝える名城

国宝

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

島根県松江市に立つ松江城天守は、現存する12の天守の一つであり、さらに国宝に指定された5つの天守の一つです。黒い外観と千鳥が羽を広げたような屋根の形から「千鳥城」とも呼ばれ、戦国期の築城技術と武家文化の粋を今に伝えています。

松江城天守の概要

松江城は1611年に築かれ、堀尾吉晴公によって完成しました。天守は5層6階建てで、黒い下見板張りの渋い外観を持ちます。屋根の形が千鳥が羽を広げた姿に似ていることから、別名「千鳥城」とも呼ばれています。

天守は権威を誇示するだけでなく、防御機能を備えた実戦的な造りです。壁の狭間からは鉄砲や矢を放つことができ、石落としによって敵を退ける仕組みもありました。また、城下町を一望できる立地は軍事拠点としても有効でした。


松江城天守の特徴

松江城天守には、他の城にはない独自の特徴があります。特に黒色の外観は全国的にも珍しく、姫路城の白さと対比されます。

特徴内容
建築様式5層6階、望楼型天守
外観黒い下見板張り、重厚で落ち着いた雰囲気
別名千鳥城(屋根の形が由来)
防御機能狭間、石落とし、急勾配の石垣
国宝指定2015年に国宝に指定

国宝に指定された理由

松江城天守が国宝に指定されたのは、歴史的価値と保存状態の良さが大きな理由です。現存する天守の中でも防御構造がよく残っており、当時の築城技術を知るうえで欠かせません。

国宝天守所在地特徴
松江城島根県松江市黒板張り、千鳥城の別名
姫路城兵庫県姫路市白鷺城、華やかな外観
松本城長野県松本市烏城、黒漆の外観
犬山城愛知県犬山市現存最古の天守
彦根城滋賀県彦根市優美な姿、保存状態が良い

天守からの眺望と体験

松江城天守に登ると、宍道湖や大山を望む壮大な景色が広がります。特に夕暮れ時の宍道湖は「日本の夕日百選」にも選ばれており、絶景として知られています。内部には建築資材や武具の展示があり、当時の武士の暮らしを体感できます。

また、城の周囲を巡る堀川遊覧船に乗ると、水面から天守を仰ぎ見ることができ、陸上とは異なる迫力を味わえます。さらに、春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と四季折々の美しさも魅力です。

季節見どころ
桜が咲き誇る城と堀
青葉に映える黒い天守
鮮やかな紅葉と天守
雪化粧した荘厳な姿

松江城と城下町文化

松江城は単なる軍事拠点ではなく、城下町の発展と密接に結び付いていました。城を中心に整備された松江の町は、武士の屋敷、商人や職人の町、そして文化活動の場として栄えました。

特に茶の湯文化や和菓子文化は、松江城を中心とした武家社会の中で発展しました。現在も城下町には老舗の和菓子店や茶室が残り、観光客が日本文化を体験できる場所となっています。

分野松江城との関わり
茶の湯武家文化とともに広がり、松江藩主も愛好
和菓子茶文化と結び付き独自の発展
文学小泉八雲が松江で創作活動を展開

まとめ

松江城天守は、歴史・建築・文化を総合的に体験できる国宝です。黒く重厚な外観、防御の仕組み、宍道湖を望む眺望、そして城下町文化。これらが一体となり、訪れる人々に深い感動を与えます。

さらに、松江城は「現存12天守」「国宝5天守」の1つとして、日本の城文化を学ぶ上で欠かせない存在です。外国人旅行者にとっては、ここを訪れることが日本の歴史と文化を理解する大切な体験となるでしょう。