トヨタウーブンシティがついに始動!未来社会の実験都市が描く新しい暮らしのかたち

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

トヨタ自動車が建設した実証都市「ウーブン・シティ」が始動しました。自動運転やAI、再生可能エネルギーを活用し、人々が生活しながら次世代の都市を検証する世界的なプロジェクトです。ここでは暮らしそのものが「未来社会の実験」となり、持続可能で安全な都市モデルを生み出していきます。

ウーブン・シティとは何か

ウーブン・シティはトヨタが推進する「未来社会の実験都市」です。面積は約4万7000平方メートル。かつてトヨタの東富士工場があった跡地を再開発し、新しい街として再生させました。

この都市の道路はユニークに設計されています。自動運転専用道路、パーソナルモビリティや自転車の道路、歩行者専用道路の三つに分かれており、安全性と効率を両立できる仕組みです。人と車が同じ空間で混ざり合わないよう配慮されている点は大きな特徴です。


実証実験の主な内容

ウーブン・シティでは、交通、住宅、健康、エネルギーなど幅広い実証実験が展開されています。

分野実証内容目的
自動運転実際の街並みでの安全性や走行効率の検証事故の減少と移動効率の向上
インフラ連動信号と車両をネットワークで接続渋滞緩和と緊急時対応
スマートホームAIと家電が連携する生活空間快適で省エネな暮らし
ロボティクス高齢者や子どもをサポートするロボット福祉と生活支援
医療・健康センサーによるデータ収集とAI分析予防医療と健康寿命の延伸

ポイントは「実験室ではなく、実生活で試す」ことです。机上の研究では見えない問題を、日常生活を通して明らかにする狙いがあります。


参加する企業と個人

このプロジェクトにはすでに20以上の企業や研究機関が参加しています。国内外の大手企業に加え、スタートアップや大学研究者も関わり、オープンイノベーションの場として機能しています。

参加主体貢献分野
大手企業モビリティ、AI、建築、エネルギー
スタートアップ新しいサービスやアプリケーション
大学・研究者医療、環境、ロボット研究
個人参加者新技術の生活体験、フィードバック

それぞれの専門性が融合することで、従来の枠を超えた新しい製品やサービスが次々と生まれる環境となっています。


住民と生活の始まり

すでにトヨタ関係者が入居し、実際の暮らしがスタートしました。今後は約300人が順次住み始める予定です。

住民はただ生活するだけでなく、「実験の参加者」でもあります。買い物や子育て、通勤といった日常の行動がデータとして収集され、技術の改善につながります。

2026年度以降は一般の人々の受け入れも予定され、国内外の人々が「未来の生活を体験できる場」になる見込みです。観光のように短期間滞在するプログラムも検討されており、グローバルに開かれた街になる可能性があります。


豊田章男会長の言葉

トヨタ自動車の豊田章男会長は「ここは町というより未来のためのテストコース」と語りました。この言葉は、ウーブン・シティが単なる居住地ではなく、社会全体の課題を解決する実験場であることを端的に示しています。

環境問題、交通安全、高齢化社会への対応といったテーマがここで検証され、成果は日本だけでなく世界に共有されます。


ウーブン・シティの意義

この都市の意義は、研究室では得られない「生活に根差したデータ」が集まる点にあります。例えば、再生可能エネルギーはクリーンですが、天候による供給変動という課題があります。ウーブン・シティでは街全体の電力を管理し、蓄電や分散供給の最適化を検証します。

また、ロボットやAIが高齢者の生活にどう溶け込むのかを実際に確認できます。利便性が高くても人が使いにくければ普及しません。ここでは住民の体験が直接改良につながるため、現実的な解決策を導き出せます。

課題従来の研究方法ウーブン・シティでの解決
再生可能エネルギー机上シミュレーション実際の街での供給と需要を検証
高齢化社会介護施設での部分的実験家庭でのロボット・AI支援を検証
交通事故実験道路での検証生活道路で自動運転を検証

まとめ

ウーブン・シティが目指すのは、「便利さ」だけでなく「安心」「健康」「持続可能性」を備えた都市です。人とテクノロジー、そして自然が調和する新しい暮らしのモデルを世界に示すことが期待されています。

もしこのプロジェクトが成功すれば、将来の都市は大きく姿を変えるでしょう。車は自動で移動し、家は住民の健康を見守り、エネルギーは街全体で循環する。ウーブン・シティはその未来を「先取りする舞台」であり、日本発の挑戦として世界中から関心を集め続けるでしょう。