スリランカを漢字で「錫蘭」と表記する理由とは?旧国名セイロンとの関係を解説

借用語

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

スリランカは日本語で「錫蘭(しゃくらん)」と表記されることがあります。この表記は旧国名「セイロン」に由来し、紅茶のブランド名や文学的な文脈で現在も使われ続けているのが特徴です。本記事では、外国人にも理解しやすいようにその由来や文化的意味を整理して解説します。

錫蘭という表記の由来

スリランカは1972年に正式名称を「セイロン」から「スリランカ」へ変更しました。しかし、日本語には古くからの呼称が残っており、「錫蘭」という漢字表記はその代表例です。

当時の翻訳者は、音を表すだけでなく、漢字の持つ意味的イメージを重視しました。「錫」は金属を意味し、異国的で重厚な響きを与え、「蘭」は東南アジアを象徴する字として親しまれてきました。こうして「セイロン」が「錫蘭」として日本語に定着したのです。

漢字表記読み方由来用途の例
錫蘭しゃくらんセイロンの音訳、漢字の意味を付与紅茶ブランド、輸入食品
獅子国ししこくシンハラ=ライオンに由来仏典、歴史文献
スリランカすりらんか現在の正式国名政治、報道、公式文書

紅茶と錫蘭の結びつき

「錫蘭」という言葉が現在でも頻繁に登場する場面は、紅茶製品の名称や紹介文です。

スリランカ産の茶葉は「セイロンティー」と呼ばれ、日本では高級茶葉として親しまれてきました。国名が変更された後も、紅茶の世界では「セイロン」の名がブランド価値を持ち続けているため、「錫蘭紅茶」という表記が今日まで用いられています。

名称説明現在の使われ方
セイロンティー世界的に有名なスリランカ紅茶商品名に広く使用
錫蘭紅茶日本語における高級感ある表現専門店や老舗ブランドで使用
スリランカ紅茶現在の正式な表記学術的説明や輸出統計など

このように、紅茶分野では旧名が文化的遺産のように残り続けているのです。


獅子国という別の呼び方

スリランカのもう一つの呼称が「獅子国」です。これはシンハラ人の名称に由来し、「シンハ」はサンスクリット語でライオンを意味します。

スリランカの国旗に描かれているライオンはその象徴であり、民族的アイデンティティと国家の誇りを示すシンボルです。そのため仏典や古代の記録において「獅子国」と表現される例が数多く残っています。

表記意味使用される場面
獅子国ライオンの国仏教経典、歴史的記録
シンハラライオンの民民族名、文化的アイデンティティ
ライオン旗国家の象徴現代スリランカ国旗

この呼び方は単なる翻訳ではなく、文化的・宗教的背景を重視した表現である点が重要です。


外国人に伝えたいポイント

外国人にスリランカの漢字表記を説明する場合は、音訳と意味付けの両方の観点から整理すると理解が深まります。

  • 錫蘭は旧国名「セイロン」を音訳したもの
  • 紅茶のブランド名や高級茶葉の代名詞として使われる
  • 獅子国はライオンを象徴する民族名に由来
  • 現在の正式名称は「スリランカ」であり、国際的にはこちらを使用

このように説明することで、外国人も日本語における漢字表記の独自性を理解できるでしょう。


まとめ

スリランカを漢字で「錫蘭」と表記するのは、旧国名「セイロン」に由来する日本独自の表現方法です。特に紅茶文化の中で強く定着し、今日まで使われ続けていることが特徴です。さらに、民族的象徴から派生した「獅子国」という呼称もあり、スリランカという国が持つ多面的な文化的背景を示しています。

現代において正式には「スリランカ」と表記されますが、錫蘭や獅子国という呼び方は、歴史や文化交流を語るうえで貴重な言葉です。外国人に説明する際には、紅茶との結びつきや仏典に見られる獅子国の表記を紹介することで、より深い理解を得てもらえるでしょう。