グアテマラを漢字だと瓜地馬羅国と表記する?日本語の意味を解説

借用語

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

グアテマラには正式な漢字表記は存在しません。しかし、明治から昭和初期にかけては「瓜地馬羅国」や「瓜国」と表記された資料が残っています。本記事では、その背景や由来を外国人にも理解しやすいように解説します。

グアテマラと漢字表記の関係

現代日本では国名をカタカナで表記するのが標準であり、グアテマラも「グアテマラ」と記します。しかし近代以前の日本では、外国名を漢字で音訳する習慣が広く存在しました。

たとえば以下のような事例があります。

国名(現代表記)漢字表記(過去の例)読み方
アメリカ亜米利加あめりか
フランス仏蘭西ふらんす
ドイツ独逸どいつ
グアテマラ瓜地馬羅国ぐあてまらこく

この流れの中で、グアテマラも「瓜地馬羅国」と書かれました。当時はカタカナ表記よりも漢字の方が公式性を持ち、文書や外交資料で多用されていたのです。


「瓜地馬羅国」という表記の意味

「瓜地馬羅国」は漢字の意味を重視したものではなく、音を借りて写した表記です。つまり「瓜」や「馬」といった漢字の持つ意味が国の特徴を示すわけではありません。

漢字音の役割本来の意味(参考)
グア瓜(スイカやメロンなど)
土地、大地
網、布

このように音に対応させて当てはめただけで、文字が表す意味はグアテマラと直接のつながりはありません。


「瓜国」という略称について

当時の日本では、長い音訳漢字を省略して一文字で表す略称を作ることがありました。アメリカが「米国」、イギリスが「英」と略されたのと同じように、グアテマラは「瓜国」と呼ばれることがありました。

国名略称元の漢字表記
アメリカ米国亜米利加
イギリス英国英吉利
ドイツ独国独逸
グアテマラ瓜国瓜地馬羅国

この略称は限られた外交文書や学術資料にしか登場せず、一般的に広く使われたわけではありません。それでも、当時の国名表記の一貫したルールの一部として存在していました。


漢字表記が使われた理由

なぜ当時の日本人は漢字で外国名を表記したのかを理解するには、当時の文化や教育の背景を知る必要があります。

理由解説
中国語の影響日本に西洋の知識が伝わる際、多くは中国を経由していたため、中国での音訳漢字がそのまま使われることが多かった
公式性明治期には漢字表記の方が「格式が高い」とされ、外交や学術の分野で多用された
読者の理解当時はカタカナより漢字の方が読者に馴染みやすく、意味がなくても親しみを持たれた

つまり「瓜地馬羅国」という表記は、単なる音訳以上に、日本語文化が外国を自国の文字体系に取り込み理解しようとした姿を反映しています。


現代における正式表記

今日では「グアテマラ」とカタカナで表記するのが唯一の正式表記です。国際的にも統一性を重視するため、漢字による音訳は使われなくなりました。

しかし、過去の音訳表記を知ることは、日本と外国との交流の歴史を理解するうえで重要です。歴史資料を読む際には「瓜地馬羅国」「瓜国」といった表記が出てくることがあり、それらを知っているとスムーズに読み解けます。


外国人向けまとめ

  • グアテマラには正式な漢字表記はない
  • かつては「瓜地馬羅国」「瓜国」と記されたことがある
  • これは意味を表すのではなく音を写したもの
  • 現在の正式表記はカタカナの「グアテマラ」

文化的背景と意義

外国名を漢字で表す慣習は、現在の私たちから見ると不自然に感じるかもしれません。しかし当時の日本人にとっては、外国の存在を自分たちの言語体系に取り込むための工夫でした。

特に漢字は「権威」や「学問的な正しさ」を象徴する文字とされ、外交文書や学術書では欠かせない存在でした。現代では使われなくなったものの、その痕跡は言語史や文化史の研究において大きな価値を持ちます。


まとめ

グアテマラを漢字で「瓜地馬羅国」と書いたのは、音を写すための歴史的な表記でした。現代の正式表記は「グアテマラ」であり、漢字表記はあくまで過去の文化的な痕跡です。

この歴史を知ることで、日本語が外国語をどのように受け入れ、また変化してきたのかを理解できます。つまり「瓜地馬羅国」という表記は単なる古い言葉ではなく、日本語と異文化交流の歴史を映し出す重要な証拠といえるのです。