イスタンブールは漢字表記だと「斯当歩児」になるのはなぜ?日本人のイスタンブールに対するイメージとは

借用語

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

イスタンブールはトルコ最大の都市であり、歴史・文化・スポーツが交差する舞台です。日本ではカタカナ表記が一般的ですが、かつては「斯当歩児」と漢字で表されました。本記事では、この表記の背景を探るとともに、日本人がイスタンブールに対して抱くイメージを整理します。

斯当歩児という漢字表記の由来

イスタンブールを「斯当歩児」と書き表すのは、外国地名を音に近い漢字で表す音訳の一例です。明治以前の日本では、海外の地名や人名を紹介する際に意味よりも発音を優先する方法が広く用いられていました。

  • 斯(シ/ス) → イ
  • 当(トウ) → スタン
  • 歩児(ブル) → ブル

このような当て字は中国経由で伝わったものが多く、完全に正確な音訳ではありませんが、異国の響きを日本語で表現する工夫として機能していました。


日本人にとってのイスタンブールのイメージ

歴史と文明の交差点

古代ローマ帝国やオスマン帝国の首都として繁栄し、東西文明の交わる地点として重要な役割を担ってきました。日本人にとっては「世界史で学ぶ都市」という印象が強く、教科書や授業で繰り返し登場するため、知識として深く定着しています。

観光都市としての魅力

ブルーモスクやアヤソフィア、ボスポラス海峡など、観光資源は豊富です。日本人旅行者にとっては、「異国情緒あふれる旅先」としてのイメージが強く、旅番組や雑誌でたびたび特集されることで憧れの地となっています。


日本人が抱くイスタンブールの特徴

分野主な印象具体例
歴史東西文明の交差点コンスタンティノープルの名残
観光異国情緒と文化遺産アヤソフィア、ブルーモスク
文化ロマンと芸術の舞台歌、文学、映画での描写
美食の都市ケバブ、トルコアイス
スポーツ熱狂的なサッカー都市ガラタサライ、フェネルバフチェ

文化と音楽の影響

昭和期に流行した歌やドラマが「イスタンブール」を題材にしたことで、「ロマンチックで幻想的な都市」という印象が日本人の心に残りました。文学や映画においても、東西文化が入り混じる舞台として描かれ、読者や観客を惹きつけています。

また食文化の側面でも、トルコ料理が世界三大料理の一つとされることから、日本でもトルコレストランが増え、「食の楽しみが広がる都市」という評価が定着しています。


スポーツ都市としての顔

イスタンブールはサッカーを中心に、スポーツ文化の盛んな都市です。特にガラタサライ、フェネルバフチェ、ベシクタシュの三大クラブは、トルコリーグを代表する存在であり、スタジアムは常に熱狂的なファンで埋め尽くされます。

さらに、日本人選手がトルコリーグでプレーしたことで、日本国内でも「イスタンブール=サッカー熱狂都市」という認識が強まりました。2005年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝、いわゆる「イスタンブールの奇跡」は世界的に語り継がれ、日本でも大きく報じられた試合です。


イスタンブールの多面的な魅力

観点イメージ影響源
教育歴史の舞台世界史の授業
旅行憧れの観光地旅行雑誌、TV番組
芸術ロマンの象徴歌や映画
食文化多彩な美食レストランの普及
スポーツサッカーの聖地国際大会と報道

まとめ

イスタンブールを「斯当歩児」と漢字で表すのは、音をもとにした当て字文化の名残です。現在は使われることは少ないものの、日本人が異国を理解しようとした歴史的な工夫を示す貴重な表記といえます。

そして、日本人にとってのイスタンブールは、歴史の舞台であり観光の目的地であり、文化と芸術の象徴であり、さらにスポーツの熱狂が息づく都市です。多面的な魅力を持つこの都市は、今もなお日本人に「特別な場所」として印象づけられています。