将棋の魅力とは?チェスとの違いから見る日本文化の知恵

借用語

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

将棋は日本を代表する伝統的なボードゲームで、相手の王を詰ませることで勝敗が決まります。チェスと似ている部分もありますが、駒を取ったあとに再利用できる独自のルールがあり、常に逆転の可能性を秘めています。本記事では、外国人の方に向けて将棋の基本ルールや文化的背景をわかりやすく解説します。

将棋の基本概要

将棋は二人制の対戦ゲームで、目的は相手の王将を詰ませることです。盤は9×9の合計81マスで構成され、駒の初期配置はあらかじめ決められています。

試合は大きく三つの流れに分けられます。

  1. 序盤 駒を展開しながら守りを固める
  2. 中盤 攻撃と防御が交錯し、戦術的な攻め合いが始まる
  3. 終盤 成りや持ち駒の投入によって逆転が多発する

一局が数時間に及ぶこともあり、集中力と忍耐力が試されるゲームです。


駒の種類と動き方

将棋の駒はそれぞれ異なる動きを持ち、敵陣に入ると「成り」で強化されます。これによりゲームは終盤に向かって劇的に変化します。

駒の名前動き方成った後の動き
王将上下左右と斜めに一マス成らない
金将前後左右と斜め前に一マス成らない
銀将前方斜めと前に一マス成ると金将と同じ
桂馬前方二マス進み斜め前に飛ぶ成ると金将と同じ
香車前に何マスでも進める成ると金将と同じ
歩兵前に一マス成ると「と金」となり金将と同じ
飛車前後左右に何マスでも成ると竜王になり斜めも一マス動ける
角行斜めに何マスでも成ると竜馬になり上下左右も一マス動ける

特に歩兵は小さな力ですが、成ることで強力な存在となり、勝敗を左右することがあります。


将棋とチェスの違い

将棋とチェスは似ていますが、ルールには大きな違いがあります。

項目将棋チェス
9×9の81マス8×8の64マス
駒の数各20枚各16枚
取った駒自分の駒として再利用可能(持ち駒)盤外に除外される
成り敵陣に入ると強化プロモーションで主にクイーンに変化
試合展開逆転が起きやすい序盤の差がそのまま結果に直結しやすい

持ち駒制度があるため、将棋は最後まで勝敗がわからないスリリングなゲームとして評価されています。


将棋の歴史と文化的背景

将棋の起源は古代インドのチャトランガに遡り、中国や朝鮮を経て日本に伝わったとされています。平安時代には宮廷で楽しまれ、江戸時代には庶民の娯楽として広まりました。

また、将棋は単なる遊びではなく武士の戦術訓練としての側面もあり、知恵比べの象徴とされました。

現代では、プロ棋士による公式戦やタイトル戦が行われ、テレビやインターネットを通じて多くの人に親しまれています。藤井聡太八冠などのスター棋士の登場により、国内外での注目度も高まっています。


将棋の戦法と戦術

将棋には数多くの戦法が存在し、相手の動きに応じて柔軟に戦う必要があります。代表的な戦法をまとめます。

戦法の名前特徴初心者への適性
矢倉囲い王を堅く守り、攻防のバランスが取れる中級者向け
美濃囲い横からの攻撃に強い守り初心者でも学びやすい
振り飛車飛車を左に展開して柔軟な攻めを展開戦術の幅を広げたい人向け
居飛車飛車を動かさず正面突破を狙う基本戦法として学ぶ価値あり

戦法を学ぶことは大切ですが、最終的には読みの力が勝敗を決めるため、実戦経験を積むことが重要です。


プロ棋士制度とタイトル戦

将棋の世界にはプロ棋士制度があり、日本将棋連盟によって運営されています。棋士になるには奨励会に入会し、厳しい競争を勝ち抜く必要があります。

プロ棋士にはいくつかのタイトル戦があり、年間を通じて大きな注目を集めています。

タイトル特徴賞金規模
名人戦最も伝統があるタイトル高額
竜王戦賞金額が最も高いタイトル戦国内最高峰
王位・王座・棋王・叡王毎年開催される主要タイトル中規模
棋聖戦五番勝負で行われる比較的短期戦

一人の棋士が複数のタイトルを保持することは非常に難しく、偉業とされます。


将棋を体験する方法

将棋を始めたい外国人にとって、学習手段は多様にあります。

  • 書籍や教材 入門書や子ども向けの絵本もあり、駒の動きを楽しく学べます。
  • 将棋教室や道場 日本各地に存在し、直接指導を受けられます。
  • オンライン対局 スマートフォンのアプリやウェブサイトで世界中のプレイヤーと対戦可能です。

初心者はまず駒の動きとルールを覚えることから始めるのがおすすめです。その後、戦法や定跡を少しずつ学び、プロ棋士の対局を観戦することで理解が深まります。


まとめ

将棋は日本文化の象徴ともいえる奥深いボードゲームです。

  • 持ち駒の再利用という独自ルールにより、最後まで勝敗がわからない
  • 成りの仕組みで駒の力が変化し、戦略性が広がる
  • 歴史的背景から武士や庶民に愛され、今や国際的にも広まっている

外国人にとって将棋は、日本文化を体験する入り口として最適なゲームです。遊びを通じて、論理的思考・戦術的判断・忍耐力を養うことができるでしょう。