剣道には「五つの構え」がある?中段から脇構えまでわかりやすく紹介

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

剣道には中段 上段 下段 八相 脇構えの五つの構えがあります。これらは単なる姿勢ではなく、攻めと守りの切り替え 心の持ち方 相手との駆け引きを形にしたものです。この記事では、初心者や外国人にも理解しやすいように、それぞれの構えを丁寧に解説します。

剣道の五つの構えとは

剣道の構えは、ただ竹刀を持って立つ姿勢ではなく、心と技を結びつける重要な要素です。構えによって攻め方や守り方が変わり、試合の流れそのものを左右します。以下に五つの構えの概要を示します。

構え特徴主な用途
中段の構え攻守のバランスが良い基本、最も多用される
上段の構え強烈な攻撃力、威圧感がある勝負を決める一撃
下段の構え相手を誘い込む駆け引きで反撃を狙う
八相の構え攻撃の変化が豊富相手の予測を外す
脇構え竹刀の位置を隠す奇襲や不意打ちに用いる

中段の構え

中段の構えは剣道の基盤であり、最初に学ぶべき姿勢です。竹刀の切っ先を相手の喉元に向けることで、相手を抑えながら自らも攻めの準備を整えます。

  • 攻防の切り替えが速い
  • 間合いを取りやすい
  • 体の重心を安定させやすい

中段は守りが堅いだけでなく、攻撃の起点にもなります。どのような試合展開でも柔軟に対応できるため、初心者から上級者まで最も多く用いられる構えです。

中段の練習ポイント

練習方法効果注意点
素振りを繰り返す切っ先の安定性を養う肘や手首に力を入れすぎない
間合いを意識した稽古相手との距離感を掴む竹刀を下げすぎない
打突後の残心を確認攻防一体を意識できる姿勢を崩さない

上段の構え

上段の構えは竹刀を頭上に掲げ、攻撃の迫力で相手を圧倒します。大きな動作から力強い一撃を繰り出すため、決定力が高い構えです。

ただし守りが弱くなるため、瞬時の判断力気迫が求められます。左右どちらで構えるかにより右上段・左上段に分かれます。

上段の利点と欠点

観点利点欠点
攻撃力一撃で勝負を決めやすい打突が外れると隙が大きい
精神面気迫で相手を制する自分も消耗が激しい
実戦性攻め重視の試合で有効防御が難しい

下段の構え

下段の構えは竹刀を腰より下に置き、相手を油断させて誘い込む姿勢です。一見すると防御が弱そうに見えるため、相手が打ち込んでくることが多いですが、その瞬間に返し技を狙います。

この構えは冷静さと忍耐力が必要です。攻撃を誘って反撃するため、間合いの把握と正確な反応が欠かせません。

下段の構えが生きる場面

状況効果具体例
守りが堅い相手攻撃を誘いやすい相手が中段で守りを固める場面
消極的な相手動きを引き出せる攻め手が少ない相手
相手が焦っている打突の隙を作れる試合終盤でポイントを急ぐ場面

八相の構え

八相の構えは竹刀を肩口に置き、刃先を斜めに向ける姿勢です。右八相・左八相があり、攻撃のパターンが豊富です。

  • 変化に富んだ攻撃
  • 相手に予測させない動き
  • 華やかで演武にも適している

特に斜めからの打突や左右からの小手打ちに強く、試合で意表を突くのに有効です。相手にとって攻撃の出どころが読みづらいため、試合の流れを変える際に多用されます。


脇構え

脇構えは竹刀を体の脇に隠し、相手から切っ先を見えにくくする姿勢です。そこから放たれる一撃は不意打ちのような効果を持ち、相手に対応する時間を与えません。

ただし扱いが難しく、構えが崩れると隙を突かれる危険性があります。そのため熟練者が奇襲戦術として選ぶことが多いです。心理的な駆け引きで主導権を握りたい場面に適しています。


五つの構えの比較まとめ

最後に五つの構えを比較して整理します。

構え攻撃力防御力難易度使用者の特徴
中段基本を重視する剣士
上段攻撃的で気迫にあふれる
下段冷静に隙を突く
八相攻撃の変化を重視
戦術的で奇襲を狙う

まとめ

剣道の五つの構えは、それぞれに役割と狙いがあります。

  • 中段は基礎を固めるために最重要
  • 上段は攻撃力で勝負を決める
  • 下段は心理戦を重視し、相手を誘う
  • 八相は多彩な攻撃を可能にする
  • 脇構えは奇襲や駆け引きに強い

初心者はまず中段を徹底して習得し、次に他の構えを学ぶと理解が深まります。構えは単なる形ではなく、心と体を整え、相手との呼吸を合わせる手段です。五つの構えを知ることは、剣道をより楽しみ、技を磨く第一歩となります。