国宝「専修寺の御影堂・如来堂」江戸時代の建築美と歴史をたどる旅

国宝

2025.09.12

三重県津市にある専修寺は、浄土真宗高田派の本山寺院です。その中心に立つ御影堂と如来堂は2017年に国宝に指定され、江戸時代の木造建築の粋を今に伝えています。本記事では、歴史や文化に関心のある外国人の方に向けて、その魅力を紹介します。

専修寺とは

専修寺（せんじゅじ）は、鎌倉時代に創建された真宗高田派の総本山です。広大な境内には複数の堂宇が立ち並び、訪れる人々に厳かな静けさを与えます。長い歴史の中で幾度も修復され、地域の人々に大切に守られてきました。

御影堂と如来堂は、江戸時代中期に建てられた木造建築の傑作です。2017年には、三重県内の建造物として初めて国宝に指定されました。

この指定は、単なる歴史的価値にとどまらず、信仰文化を後世に伝える役割が評価された結果といえます。

御影堂は、親鸞聖人の御影を安置する中心堂宇です。堂内は広々とした木造空間で、柱や梁には職人の高度な技術が息づいています。参拝者は静けさに包まれ、聖人を偲びながら建築の美を堪能できます。

如来堂は、阿弥陀如来を祀る堂宇で、専修寺の宗教的象徴ともいえる建物です。外観は堂々としており、内部には金箔や漆を施した華麗な仏壇があります。

御影堂と対をなすことで、専修寺全体の信仰的な力強さを象徴しています。

外国人観光客にとって、専修寺は日本の宗教文化と建築美を同時に体験できる場所です。京都や奈良に比べて観光客が少なく、落ち着いた雰囲気で拝観できる点も魅力です。

境内は四季の自然が美しく、春は桜、秋は紅葉が訪れる人々を迎えます。建物と自然が調和した景観は、日本文化を象徴する光景です。

専修寺が今日まで良好な状態を保てているのは、地域住民と僧侶の保存活動によるものです。木材の補修や漆の塗り直しなど、数百年にわたり手が加えられ続けています。これにより、御影堂と如来堂は「過去の遺産」ではなく、現在も生き続ける信仰空間として維持されています。