日本で急増するモバイルバッテリーの発火事故!注目される次世代電池「ナトリウムイオン電池」とは?

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

日本ではスマートフォンの普及に伴い、モバイルバッテリーの利用が日常化していますが、それに比例するかのように発火事故の報告が増加しています。こうした中で、従来のリチウムイオン電池に代わり、安全性に優れた「ナトリウムイオン電池」が注目されています。本記事では、事故の背景とナトリウムイオン電池の可能性について詳しく解説します。

発火事故の背景とリチウムイオン電池の課題

日本国内で報告されるモバイルバッテリーの事故は年々増加しています。リチウムイオン電池は高いエネルギー密度を誇りますが、その反面、構造上の特性から過充電や衝撃による短絡が起こると熱暴走を引き起こし、発火や爆発に至る危険性があります。とくに非正規品や安価な輸入品では、品質管理や安全設計が不十分なケースも多く、事故のリスクを高めています。使用者が気づかないうちに劣化が進行し、発熱や膨張といった症状を見逃すことで、事故に発展することがあります。

発火事故の主な原因と影響

原因詳細内容影響
過充電長時間の充電による電圧上昇電池内部の温度上昇、発火の可能性
外部衝撃落下や圧迫による構造損傷電池セルの短絡、破裂
粗悪な設計安全回路の欠如、誤作動異常加熱、煙や炎が発生
使用劣化長期使用による性能低下内部抵抗上昇による異常発熱

このような要因により、バッテリーの事故は公共交通機関内や航空機搭乗時など、他人を巻き込むリスクがある環境でも問題視されています。信頼性の高い製品を選ぶ意識がますます重要となってきました。

ナトリウムイオン電池の登場とその特性

ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池の代替技術として開発が進んでいます。地球上に豊富に存在するナトリウムを使用することで、資源の安定性が高く、環境への負荷も抑えられることが大きな利点です。また、熱安定性に優れており、内部温度が急上昇しても暴走するリスクが低いため、発火の可能性を大きく下げることができます。ただし、現段階ではエネルギー密度やコスト面で課題があり、普及には技術進化が求められています。

リチウムイオン電池とナトリウムイオン電池の比較表

比較項目リチウムイオン電池ナトリウムイオン電池
主原料リチウムナトリウム
資源量限られている豊富に存在
熱安定性やや低い高い
発火リスク中〜高低い
エネルギー密度高いやや低い
製造コスト安定高い(現状)
環境負荷高め低め

この表からも分かる通り、ナトリウムイオン電池は安全性と資源面で優れた特性を持っています。特に防災用途や公共空間での使用を想定した製品では、採用が進むと予測されています。

日本国内でのナトリウムイオン製品の導入

日本でも、ナトリウムイオン電池を用いたモバイルバッテリーが登場しています。一部の家電量販店やオンラインショップで試験販売され、アウトドア用や災害対策用の安全性重視モデルとして注目を集めています。特に真夏の高温環境でも安定して使用できる点が評価され、過熱による事故を防止する選択肢として消費者の関心が高まっています。また、企業向けの安全対策製品としても活用されており、作業現場や病院などでも今後の導入が期待されています。

モバイルバッテリー選びのチェックポイント

消費者が安全なモバイルバッテリーを選ぶには、いくつかの重要なチェックポイントがあります。以下にそのポイントを表で整理します。

項目内容
認証マークの有無PSEマークなど法的な安全基準を満たす製品であること
過充電防止機能保護回路が搭載されているかどうか
本体の発熱有無使用中に異常な熱を感じたら使用を中止
保管環境高温や多湿の場所を避ける
購入経路正規販売店や公式通販サイトを利用

これらを確認し、安全性の高い製品を選ぶことが、日々のトラブル回避に繋がります。

まとめ

モバイルバッテリーは、私たちの生活を支える便利な道具である一方、その取り扱いや選び方を誤ると大きな事故を引き起こす可能性を持っています。リチウムイオン電池の発火事故が増加するなか、ナトリウムイオン電池は安全性の面で強みを持つ次世代の蓄電技術として存在感を増しています。日本国内でも実用化が進みつつあり、今後はさらなる技術進化とともに普及が期待されます。消費者自身も知識を持ち、製品の特性やリスクを正しく理解し、安全に使うことが求められます。安全で快適な暮らしのために、私たち一人ひとりがモバイルバッテリーの「選び方」と「使い方」を見直す時期にきています。