ホンダの人気コンパクトSUV「ヴェゼル(VEZEL)」は、デザインや燃費性能だけでなく「乗り心地」もユーザーにとって重要な評価ポイントです。本稿では、実際の試乗体験やオーナーの声をもとに、ヴェゼルの乗り心地を詳しく解析します。長所と短所を整理し、どのような場面でどう感じられるかをお伝えします。
ヴェゼルの乗り心地を評価する基本軸とは何か
快適性を左右する3つの要素
乗り心地を語る上で、以下の3要素が重要になります。
- サスペンションと足まわりの応答性:路面の凹凸をどういなすか
- 遮音・静粛性:車内に入るノイズ、振動の抑制
- シートや室内空間の質感:体に触れる部分の心地よさ
これらがバランスよく設計されているかで、ドライバー・乗員の満足度が大きく変わります。
新型ヴェゼル(マイナーチェンジ後)で改善された点とその意味
静粛性と遮音対策の強化
マイナーチェンジ後のヴェゼルでは、遮音材・防音材の厚みや配置を見直し、ロードノイズやエンジン音を低減する設計が施されています。特に高速走行時でも、エンジン回転数の高音域が抑えられ、低音域だけがしっとりと聞こえるような落ち着いた音響バランスが狙われています。
さらに、e:HEV(ハイブリッド)モデルではエンジン始動・停止の回数制御を改善し、無駄なエンジン稼働を減らすことで挙動の滑らかさにも寄与しています。
ステップアップシフト制御の改良で加速フィールが向上
一般的なCVT(無段変速)にありがちな「もたつき感」を軽減するために、ステップアップシフト制御(わずかに段変速を感じさせる制御)が改良されています。これにより、アクセル操作に対する反応が自然になり、特に峠道や登坂での加速フィールの改善につながっています。
足まわりの再セッティングでしなやかさと安心感を両立
ヴェゼルは、グローバル展開を意識して足まわり設計を一本化していますが、その中で「しなやかさ」と「安心感」の両立を目指す調整がなされています。これまで硬めと感じられる場面があった挙動が改善され、街中の路面段差や継ぎ目をマイルドにいなしながらも、コーナリング時の横揺れは抑制される方向に向上しています。
実際の走行シーンで感じるヴェゼルの乗り心地:長所と短所
高速・郊外道路での快適性は高評価
高速道路を走る際には、遮音性能と振動抑制の強化が特に生きてきます。静かな車内空間と穏やかな加速感により、長距離ドライブでも疲れにくい印象があります。速めの速度でもエンジン音や風切り音が強く主張しにくく、オーディオや会話が快適に保たれる点は高評価です。
市街地では路面のギャップへの反応にやや敏感
一方、街中走行では路面の微細な凹凸やマンホールの隆起などに対して、やや硬さを感じる場面が報告されています。スプリングや減衰力が硬めに設定されていると、乗員に伝わる振動がやや大きめになることがあります。また、低速域ではハイブリッドのモーターとエンジンの切り替わり時にぎくしゃく感を覚える場面もあるようです。
こうした挙動は、SUVという車高や車体構造の特性も影響しています。
複数乗員時や背の高い人の視点もチェック
後席に複数人が乗ると、中央席や床の盛り上がり部分で快適性に差を感じるという声もあります。特に5人乗車の機会が多い方は、中央席の居住性を確かめておくことが望ましいでしょう。また、背の高い方にとってはヘッドルームや足元空間の余裕も重要な判断要素になります。
ヴェゼルの乗り心地を数値や評価で整理してみる
以下は、ヴェゼルがどのような乗り心地傾向を示すかを評価観点別に整理した表です。
観点 | 印象・傾向 |
---|---|
高速走行時快適性 | 静粛性・振動抑制に優れ、快適性は高い |
街中・低速快適性 | 路面段差で突き上げを感じることがある |
加速感・反応 | ステップアップ制御で滑らかさ向上 |
乗員同乗時 | 中央席や後席での快適性のバラツキがある |
また、オーナーによるレビューや試乗記でも「静か」「しっかりした足回り」「街乗りでは硬さを感じる場面あり」などのコメントが見られます。
まとめ
ヴェゼルの乗り心地は、高速を中心に走る方や長距離ドライブを重視する方に特に適しているといえます。遮音性強化や足まわりの改良によって、SUVとしての基本性能を高めながらも快適性を追求した設計が感じられます。
ただし、街中走行においては細かな路面変化に敏感な場面が残ること、5人乗車時や中央席の居住性がやや劣る可能性がある点は押さえておきたいポイントです。購入検討時は、実際の走行シーン(街中・高速など)で試乗して、自分の運転スタイルや使い方に合うかどうかを確かめることをおすすめします。